Overview
静かで温暖な日本の瀬戸内海で育ったせいか、森は常に興味が尽きない場所だった。
樹々の間に感じる気配に畏敬の念を覚え、森は私を惹きつけてやまなかった。
2月に冬の八ヶ岳山麓を訪れた。
撮影機材と孤独が私に重くのしかかり、刺すような寒さが体温を奪う。
彷徨うように歩いていると、いつの間にか知らない世界に引き込まれている。
行ってはいけないとあらがうが、心は乱れ、酩酊したように意識が遠のく。
瞼の裏を大きな影がゆっくりと舞った。
まるで笑うようにポーズをとって、影が私にカメラのシャッターを切らせた。
一瞬のようにも、とても長い時間のようにも思えた。
目を開くと私は森の中にいた。
森は何も言わずに私を見下ろしている。
きっと昔から日本の森に棲む精霊たちが、私を誘いこんだのだ。
Spec
- Image size
- 373×293mm
- Frame size
- 644×490×31mm
- Frame spec
- Wooden black frame
- Edition
- 2+AP
- Signature
- Signed work
- Remarks
- Digital pigment print on paper KYOKUSHI